永井路子さんが亡くなられたというニュースが流れた。
ボクが漫画家になったのも、
永井路子さんのひと言。
「渡瀬さんは漫画家になりたいんだ」
また二足のわらじで悩んでいた頃は、
「漫画家の世界は大変だから、サラリーマンを続けて、漫画は趣味になさい」
と中々漫画家になることは許してくれなかった。
「どうしても漫画家一本でやりたければ、漫画の収入が今のお勤めのサラリーの6倍になることが目安ですよ」
と常々仰っておられた。
先生が鎌倉にお住まいの頃、鎌倉山のお宅にお邪魔して、
「二足は辛いのでもうそろそろ」なんてジクジク言っていると、
「6倍になったの?」と牽制された。
それから8年、
ボクは40歳の時の会社の異動を機に退職。
先生には事後報告になった。
「先生、二足のわらじ、卒業しました。全然6倍には程遠いのですが、、、」と言うと。
先生は「そう、おめでとう!」
と祝って下さった。
永井先生はボクの絶対的理解者だった。
その後先生は東京に、一時期先生のお宅とボクの仕事場が5分圏内に。
時々先生の散歩に遭遇することも。
嬉しかった。先生は颯爽と若々しく歩いておられた。
ボクが車で遭遇した時、
「先生!お送りしましょうか?」と言うと、
「歩きなさい、あなた歩くのよ」
永井路子先生、御冥福をお祈り申し上げます。
2023 2/9
わたせせいぞう